あー、今日の講義は芝居と演劇についてだ
わたしゃ演劇が大嫌いなんだ。芝居は好きなんだがな
世の中では芝居と演劇が混同されているのは甚だ腹立たしい限りだ
そこで、今日は簡単ではあるがその違いに付いて説明する
「簡単に」だよ。本気で語ると三日三晩はかかるからな
端的に結論から言うと演劇は「嘘」、芝居は「真」だな
漢字を見てもわかるだろう、劇を演じると書いて演劇だな
演じるということはつまり嘘だな
かたや芝居は芝に居るんだ。野っ原に居るんだ。つまりは生活だ。つまりは「真」だ
反発を覚悟で汚い言葉を使わせてもらえば、演劇は「くさい」、芝居は「自然」なんだ
演劇は観ていて恥ずかしいが、芝居は共感できるんだ
むろん、台本があってセリフを覚えて舞台で発表する、
という表現方法はどちらも変わりはない
変わりはないが、考え方や稽古方法が根本的に違うんだ
まず考え方だが、演劇は「その役に見えるようになる」ために練習する
芝居は「その役であるような状態を維持する」ために練習するんだ
結果、役者は本番中、演劇は「役になっている」のであり、芝居は「役である」のだ
稽古の仕方も違うぞ。たいていはまず、台本読みから始めるだろう
演劇では最初から感情を入れて起伏をつけて読むだろう
しかし芝居は感情を入れずに棒読みからスタートするんだ
だから芝居の稽古は「つまらない」
「役作り」という言葉を聞いた事があるかい?「役作り」なんてのは愚の骨頂で
役を作った時点で「嘘」になるんだ。お客さんは「嘘」を見せられてるんだぜ
芝居の稽古はまず棒読みでセリフを覚える。覚えるというより身体に脳に「染み込ませる」
と言った方が的確かもしれない
するとセリフを発する時にどんな感情でも表現できるんだ
同じセリフを発する時に喜怒哀楽どんな感情表現でもできるんだ
それは「役になっている」のはなく「役である」からなんだよ
演劇の稽古は短いと2週間、長くて2ヶ月程度
芝居の稽古は最低3ヶ月、長いと1年くらいかかることもあるんだ
演劇は楽ちんなんだよね。型を決めてそれに当てはめて行けばいいんだから
ところが芝居は役者の日々からの鍛錬も必要なので時間がかかるんだ
ざっと上っ面だけ説明したけど、何となくわかってくれたかな?
そろそろ私のベロも乾いてきたので終わりにするよ
ああ、ギャランティは2000万カリカリをスイス銀行に振り込んでくれたまえよ
それではまた。