朔太郎の去就その1

豆兄弟がやってきた時、朔太郎は姿を見ていないにもかかわらず、相当そわそわしていた。
黒幕さんにもほとんど姿をみせることはなかったが、帰ったあとがすごかった。
まるで犬のように、黒幕さんの履いていたスリッパを嗅ぎ回り、黒幕さんの歩いた動線を匂いで辿り、
座っていた椅子に手を掛け立ち上がってものすごい形相で嗅いでいた。
お前さんは麻薬犬か?それとも黒幕さんはヘンゼルとグレーテルのようにマタタビを自分のあとに落としながら歩いていたとでも言うのか?
夫人とチビタン、そして豆兄弟の匂いを全身に付けて現れたた黒幕さんは、朔太郎にとってはかなり怪しい人物に映ったようだ。
豆兄弟の部屋を書斎にしたのは朔太郎が唯一自由に出入りできない場所だからだ。寝室にもリビングにも朔太郎専用どこでもドアが付いており、
和室は完全に朔太郎の一人部屋だ。うちではオットより朔太郎の部屋の方が広いのだ。
朔太郎にとっては書斎以外のすべての部屋が縄張りであり、残るは庭くらいしかない。
かくしてオットはその所有権をあっさり豆兄弟に明け渡したというわけだ。
無血開城、立派なるかな。心中痛み入りまする。
しかしお陰でオットが和室に引っ越してくることになり、朔太郎としては当然面白くない。壁際の隅っこだけとはいえ、不法占拠もいいところだ。
しかしそれまで自分の結界の真ん中に寝ていることが多かったのだが、ちょっと右よりになったのが朔太郎なりの気遣いと優しさだ。
さて、初対面の時の朔太郎はどうだったか・・・
それはまた次回。
 
一秒たりともじっとしてないので写真がブレブレ